議事録は、海外の顧客や子会社との打ち合わせでは欠かせない重要なドキュメントです。英語での議事録作成に際しては、日本語での議事録作成と基本的なポイントは同じであるものの、特有の英語表現が存在することを覚えておく必要があります。
海外でのビジネスでは、業務の優先順位を明確にし、それに基づいてアクションアイテムと期日を設定することが一般的です。そのため、効果的な議事録を作成する能力は、円滑なプロジェクト運営に不可欠です。
多くのビジネスパーソンは、特に英語での議事録作成方法について正式に学んだことがなく、先輩や同僚の議事録を参考にしながら作成しています。しかし、正しい書き方と注意点を学ぶことで、より効果的な議事録を作成し、即座に業務に反映させることが可能になります。
この記事では、英語での議事録作成の際に知っておくべきポイントと、注意すべき点について解説します。これらの知識を身につけることで、次回の会議からすぐに活用することができるでしょう。
目次
英語議事録作成のガイドラインとサンプル紹介
英語で議事録を作成する際には、特定の項目を含めることが一般的です。以下は英語での議事録作成に必要な基本的な項目と、そのサンプルを紹介します。
英語議事録の基本項目
英語での議事録では以下の項目を明確にすることが重要です。
・ Date:(日付)
・ Attendees:(出席者)
・ Decision items:(決定事項)
・ Agenda:(議題)
・ Action items:(アクションアイテム)
・ Meeting Notes:(打合せ内容)
・ Next meeting date(次回打合せ日程)
これらの項目を基に議事録を整理し、情報を明確かつ簡潔に伝えることが求められます。「決定事項」の項目は、必要に応じて省略することも可能です。
英語での議事録サンプル
ここでは、実際のビジネスシーンで使える英語での議事録のサンプルを見ていきます。このサンプルは、FACE社がSUSUKI社に依頼している装置の開発に関する打ち合わせの議事録です。
・ FACE社はSUSUKI社に特定の装置の開発を依頼しています。
・ この議事録は、その開発に関する具体的な打ち合わせの内容をまとめたものです。
日本語での議事録サンプル
ここでは、まず日本語で議事録の内容を紹介し、その後に英語での議事録サンプルを提示します。英語での議事録作成時には、上記の基本項目を踏まえ、議論された内容や決定された事項を正確に記録することが大切です。
打ち合わせ日時:
2024.3.14 8:00 – 9:00
必要に応じて打合せを行った場所や会議方式(WEB会議など)を書いても構いません。
出席者:
FACE社
マーク(営業グループ長)
ジョン(ソフトウェアエンジニア)
ジェイソン(ハードウェアエンジニア)
メアリー(調達担当)
SUSUKI社
鈴木(設計グループ部長)
田中(ハードウェアグループ長)
佐藤(ソフトウェアエンジニア)
中村(ハードウェアエンジニア)
豊田(調達担当)
出席者は名前と役割や部署名を記載することで、会議内容が分かりやすくなります。
議題:
1. FACEからのソフトウェア変更要求
2. 生産中止IC部品の交換について
3. 開発スケジュールと追加開発費用
打合せの議題は、必ず打ち合わせ前に相手に送付して了承をもらっておきましょう。それによりお互いの必要な出席者が異なります。
アクションアイテム:
- SUSUKI社(ソフトウェアエンジニア)はミーティング後、FACEソフトウェアエンジニアに質問を送る。
- SUSUKI社(ハードウェアエンジニア)は、4月19日までに項目を送る。
- SUSUKI社は4月26日までに詳細なスケジュールをFACEに送る。
- SUSUKI社(調達担当者)は本日中に新しい見積書を送付する。
アクションアイテムは1つの章としておくことで対応忘れが少なくなります。また各アクションアイテムには期日を入れることを忘れないようにしましょう。
打ち合わせ内容:
1. FACEからのソフトウェア変更依頼
・ FACEからGUIの変更依頼があった。
・ 詳細な要求はすでにSUSUKIのエンジニアに送られた。
・ SUSUKIのエンジニアはすでに内容を確認し、変更作業を行っている。
・ 変更内容によって、設計期間が1週間程度長く必要になる。
・ SUSUKIのソフトウェアエンジニアから、GUIの要件について質問がある。
→SUSUKIのソフトウエアエンジニアはミーティング後、FACEのソフトウエアエンジニアに質問を送る。
2. 製造中止部品の交換
・ SUSUKI は製造中止となった IC 部品を代替部品に置き換えたい。
・ 部品はあと半年で入手できなくなる。
・ FACEはその変更に同意した。
・ 変更には検証を含めて3ヶ月かかる。
・ FACEは代替部品に置き換える品目リストを知りたい。
–> SUSUKIのハードウェア・エンジニアは4月19日までに品目を送付する。
3. 開発スケジュールと追加開発費用
・ GUI変更とIC部品交換により、開発全体スケジュールの変更が必要となる。
・ IC部品交換がスケジュール変更の大半を占める。
・ 現在のスケジュールと比較すると、約3ヶ月の遅れが発生する。
–> 4月26日までに詳細スケジュールをFACEに送付する。
・ GUI変更に伴い、設計費が追加で必要になる。
・ FACEは了解。
–> SUSUKI担当者は本日中に新しい見積書を送付する。
各議題事に背景や決定事項について箇条書きしていきます。細かく書きすぎないことがポイントです。
次回の会議日:
日本時間5月8日午前8時
ロサンゼルス時間5月7日午後6時
日本時間だけでなく先方の時間も記載しておくようにしましょう。春から秋はアメリカやヨーロッパはサマータイムが導入されており、標準時より1時間進めています。都度確認しましょう。
現地と日本の時差の確認は私は time-j.net というサイトを使っています。
英語での議事録サンプル
次に上記の議事録をを英語にした場合を紹介します。
Date:(日付)
Date: 3/14/2024
Time: 8-9AM
Attendees:(出席者)
FACE
Mark(Sales Group Manager)
John(Software Engineer)
Jason(Hardware Engineer)
Mary(Procurement)
SUSUKI
Suzuki(Design Group General Manager)
Tanaka(Hardware Group Manager)
Sato(Software Engineer)
Nakamura(Hardware Engineer)
Toyoda(Procurement)
先方の出席者の名前やスペルが確認できないときには、打合せのあとに出席者リストをメールで送ってもらうようにお願いします。
Agenda:(議題)
1. Software change request from FACE
2. Replacement of discontinued IC parts
3. Development schedule and additional NRE cost
議題は打合せの最初にも確認します。追加の議題がないかも合わせて最初に確認しましょう。
Action Items:(アクションアイテム)
- – SUSUKI Software Engineer to send the questions to FACE software engineer after the meeting.
- – SUSUKI Hardware Engineer to send the items by April 19th.
- – SUSUKI to send the detailed schedule to FACE by April 26th.
- – SUSUKI Procurement to send the new quotation today.
議事録などで見かける表現として、「人 + to + 動詞」という表現があります。
アクションアイテムを表現する際によく使われる表現です。元々、新聞などで使われいる表現ですが、議事録などでも目にする表現なので慣れておきましょう。
Meeting Notes:(打合せ内容)
1. Software Change Request from FACE
(FACEからのソフトウェア変更依頼)
– FACE would like to request changes to the software GUI.
– The detailed request has already been sent to SUSUKI engineer.
– SUSUKI’s engineers have already confirmed its content and are working on changes to it.
– The design period increases by about one week depending on the changes.
– SUSUKI software engineer has some questions on the GUI requirement.
–> SUSUKI software engineer to send the questions to FACE software engineer after the meeting.
2. Replacement of Discontinued Parts
(製造中止部品の交換)
– SUSUKI would like to replace discontinued IC components with alternative parts.
– The parts will no longer be available in another six months.
– FACE agreed to the changes.
– The changes take 3 months including the verification.
– FACE would like to know the item list that will be replaced with alternative parts.
–> SUSUKI hardware engineer to send the items by April 19th.
3. Development Schedule and Additional NRE cost
(開発スケジュールと追加開発費用)
– The whole development needs to be changed as result of the GUI change and IC parts replacement.
– The IC parts replacement dominates the schedule change.
– Therefore, compared to the current schedule, there will be a delay of approximately three months.
–> SUSUKI to send the detailed schedule to FACE by April 26th.
– The design cost will be changed to the change of GUI change.
FACE understand it.
–> SUSUKI procurement to send the new quotation today.
この内容は打合せ中に記載していきます。理想的には打合せ中もしくは打合せ最後にこの内容が出席者で確認できればベストです。
私が携わったプロジェクトの海外のプロジェクトリーダーは毎回そのような取り組み方をしていました。
Next Meeting Date(次回打合せ日程)
May 8th at 8AM Japan time
May 7th at 6PM Los Angeles time
タイムゾーンを表す表現は、JPT(日本時間)やPST(太平洋標準時)がありますが、上記のように「場所+time」という表現でも十分に伝わります。
英語での議事録のポイントはスケジュールとアクションアイテムの確認
会議中、私たちエンジニアは技術的な議論に集中しがちですが、会議中に忘れてはならないのはアクションアイテムとスケジュールの確認です。特にスケジュールに関する議論は忘れやすいので、必ず確認しましょう。
また、アクションアイテムについても期日を設定することが重要です。自分たちのアクションアイテムだけでなく、相手方のアクションアイテムについても期日を設けましょう。期日を設定しないと、相手方が他の業務を優先してしまい、対応が遅れることがあります。必ずアクションアイテムには期日を設定してください。
私の経験からも、相手方にアクションアイテムの期日を設定しても対応してもらえないことがありますが、期日を設定しておくことで催促がしやすくなります。
さらに忘れてはならないのは、会議議事録の配布です。会議当日、もしくは遅くとも翌日には議事録を全出席者に送信しましょう。個人の記憶は曖昧なので、必要に応じて追記や訂正を依頼しましょう。
議事録はメール本文に直接書いても、Wordなどの文書ファイルとして添付しても構いません。ただし、添付ファイルのみの場合、ファイルを開かない人もいますので、最低限アクションアイテムだけはメール本文に直接記載することを推奨します。
会議で使用する英語やビジネスシーンで使う英語を学ぶためにオンライン英会話を活用しよう
この記事では、英語での議事録の書き方やそのポイントについて紹介しました。
英語での会議では、日常会話とは異なり、特有の英単語や表現が用いられます。それらを事前に学んでおくことは、会議の内容をより理解しやすくする上で非常に重要です。これらを把握しているだけで、会議の流れを追いやすくなり、また、スケジュールに関する質問や疑問点を即座に確認できるようになります。
オンライン英会話では、ビジネス英会話に特化した様々な教材が用意されています。例えば、DMM英会話では、以下のような教材が提供されています。これにより、カジュアルな会話と丁寧な表現のニュアンスの違いなども学ぶことが可能です。
また、オンライン英会話のメリットは、教材の豊富さだけではありません。世界中の講師から自由に講師を選択でき、24時間いつでも自分のペースでレッスンを受けることができます。
・ コストパフォーマンスが高く、DMM英会話では週に2回のマンツーマンレッスンを月5,000円台で受講可能。
・ 24時間365日、自分のスケジュールに合わせてレッスンを受けられる。
・ 1レッスンが25分と短いため、忙しい方でもスキマ時間に受講しやすい。
・ 世界中の講師から選択でき、様々な国の英語を学べる。
・ 教材が豊富で、レッスンごとに好みの教材を選べる。
英語への苦手意識を克服し、英語での会議内容をしっかり理解し、議事録を取れるようになるために、オンライン英会話の活用をおすすめします。
特にDMM英会話は教材の豊富さと世界中の講師から学べる点で、私自身もおすすめしています。
議事録作成のコツとその効果的な活用法
この記事では、英語での議事録作成のポイントとサンプルを紹介しました。
議事録はプロジェクトの進行や業務の優先順位を明確にするための重要なツールです。特に海外のクライアントや子会社との打ち合わせでは、言語の壁を超えて共通の理解を築くために、議事録の正確な作成が不可欠です。
議事録には、日付、出席者、議題、決定事項、アクションアイテムなど、会議で討議された内容を整理し、今後のアクションプランにつなげるための情報が含まれています。特にアクションアイテムに期日を設定することで、プロジェクトの進行管理がしやすくなり、業務の効率化を図ることが可能です。
議事録を作成することを意識するだけで、会議で確認すべき点が明確になり、確認漏れが少なくなる効果もあります。
英語での会議では、日常会話とは異なる特有の表現がよく使われます。これらを事前に学んで活用することで、海外のビジネスシーンでもスムーズにコミュニケーションを図ることが可能です。ビジネス英語を学ぶためにオンライン英会話を利用することは、効果的な英語議事録の作成に向けた一歩となるでしょう。
議事録作成の基本を押さえ、実際にビジネスシーンで活用することで、より効果的なコミュニケーションとプロジェクト運営が実現します。そのためにもオンライン英会話を活用して、日常英会話だけでなく、ビジネスシーン特有の英語表現を身につけ、次回の会議から議事録作成をより積極的に行ってみましょう。
実際の打合せでも議事録を取ってみる努力をしてみましょう。最初から完璧にできなくても、学習していくことで実力がついてきます。