世界的に脅威をもたらした新型コロナウイルスも2023年5月に「2類感染症」から「5類感染症」に移行され、国内だけでなく、国際的な移動も活気が戻ってきました。エンジニアのみなさんも海外出張の機会も増えてきたのではないでしょうか?
今回はまだ海外出張に行かれたことがない方々へ向けて、私自身の経験も踏まえて、心配することや覚えておくべきポイントをお伝えしたいと思います。私自身も初めて海外出張に行ったとき、何をどう準備すべきか悩んだものです。みなさんにはその経験をお伝えしたいと思います。
目次
海外出張にいくことになったきっかけ
みなさんはどのような理由で海外出張に行かれているのでしょうか?2021年のアンケートを紹介しましょう。
この結果からわかるように、「商談・営業」が27%、「現場指導」が22%の2つで約半数を占めます。次に「社内会議」が14%となっています。世界に現地法人や子会社などを持つグローバルカンパニーにお勤めの方は、そのような機会も多いことでしょう。
その他、エンジニアに関わるところとしては、「催事・学会」9%、「納入・保守点検・修理」が5%もありますが、想像していたよりも割合は少ないですね。
私自身、初めて海外出張に行ったのは、ヨーロッパのお客様と新規開発に関する打ち合わせのためでした。私はそのとき、メカ設計エンジニアとして、プロジェクトのメンバーでした。
初めての海外出張でみんなが心配になること
初めて海外出張に行く方々の中には、国内の出張もほぼんどない、あるいは飛行機に乗ったことすらないという人もいるでしょう。そういった初めての経験が重なることで、初の海外出張はどうしても様々な不安が生まれるものです。そこで、具体的な心配事や経験者が困ったエピソードをいくつかピックアップしてみました。
- パスポートの紛失や忘れ
- 一度海外に出ると、パスポートは自身の「身分証明書」となります。多くの初めての出張者が「パスポートを紛失しないか、ホテルや会場で忘れないか」という不安を抱きます。出張中には、不安で何度も確認を繰り返す方も多いと思います。
- 飛行機の乗り継ぎや出国の手続き
- 空港は少し複雑で、特に国際線の乗り継ぎや出国審査は初めての方には難しく感じるかもしれません。「ちゃんと飛行機に乗れるのか、出国できるのか」という不安は自然なものです。ただ、余裕を持ったスケジュールを組み、必要な書類やチケットは前もって準備しておけば大きな問題は起きません。
- 入国審査のハードル
- 入国審査での質問に対してきちんと答えられるか心配する方は多いです。簡単な英語のフレーズや、自分の出張の目的を明確に説明できるように事前に準備しておくだけでスムーズに通過できます。
- 英語でのコミュニケーション
- 「英語が通じるか心配」というのは、非常に共感を得やすい不安点です。難しい英語表現は必要なく、基本的な挨拶や、業務関連の英語フレーズも予習しておくと役立ちます。
初めての海外出張は確かに不安が多いものですが、それは誰もが経験すること。事前の準備と、前向きな気持ちがあれば、困難を乗り越えて大きな経験として成長の一助となるでしょう。
初海外出張前に知っていてほしいこと~経験談~
1.パスポートは普通に持っていれば大丈夫
「パスポートは絶対になくしてはいけない。」「肌身離さず持っていなくては。」ということを聞いたことがあると思います。
私自身もそうでした。初めての海外出張のときには、腹巻きタイプのポーチにパスポートを入れていきました。ただ、それも初回の海外出張だけでしたね。
パスポートは確かに非常に重要ですが、それを特別扱いしすぎる必要はありません。手元に安全に保管し、必要なときだけ取り出せば十分です。
今私は常にサイドポーチにパスポートと財布、スマホを入れています。
いざという時のためにパスポートのコピーをスーツケースとリュックの中に1枚ずつ入れておきましょう。紛失したときもスムーズに再発行の手続きができます。
2.飛行機は電車と同じように空港の指示を見ながらいけば乗れるから大丈夫
多くの人が初めて飛行機に乗る際、どのゲートで搭乗すれば良いのか、手荷物の預け入れやセキュリティチェックの流れなど、様々な疑問や不安を抱えています。特に出張となると、その先での業務も気になり、余計な心配事が増えてしまうことも。
しかし、飛行機は電車と同じように空港の指示を見ながら行けば乗れます。何もかもが初めての経験で不安かもしれませんが、その流れを一度覚えてしまえば、次回からはずっと楽になります。
空港はよく整備されたシステム
空港は国際基準に従い、旅行者や出張者が迷わないように設計されています。飛行機は電車と同じように、空港内の明瞭な案内表示を見ながら移動すれば、問題なく目的の場所に辿り着けます。
さらに空港でチェックインから搭乗までの流れを知っていることで安心感もぐっと大きくなります。
① チェックインカウンター
航空券や予約確認書、パスポートを提示し、手荷物を預けます。
最近はスマホのアプリで事前にチェックインを済ませることが便利です。事前に利用する航空会社のアプリをスマホに入れておきましょう。
オンラインチェックインをしておけば、チェックインカウンターでは荷物を預けるだけです。
② セキュリティチェック
機内持ち込み荷物のスキャンと、金属探知機を通過します。液体の持ち込み制限や、禁止物品を事前にチェックしておくとスムーズです。
ノートPCやタブレット機器は、カバンから出してかごに入れましょう。
③ 搭乗ゲート
指定されたゲートで待機し、アナウンスに従って搭乗します。
一般的には、出発時間の30分前にゲートに集合するようにチケットに記載されています。
空港で困ったら空港スタッフに声をかけましょう
もし道に迷ったり、分からないことがあれば、空港スタッフに声をかけることをおすすめします。彼らは日々多くの旅行者のサポートをしており、親切に案内してくれます。
初めての飛行機移動も、事前の知識と準備を整えておけば、安心して移動できます。何もかもが初めての経験で不安かもしれませんが、その流れを一度覚えてしまえば、次回からはずっと楽になります。
3.入国審査は、これというパターンだけ覚えていれば大丈夫
入国審査は多くの国で行われる手続きで、旅行者がその国への滞在を許可されるかどうかを決定する重要なプロセスです。緊張すると思いますが、緊張しすぎることはありません。
初めての海外出張で入国審査に挑む際、以下のポイントを覚えておくと、スムーズに対応することができるでしょう。
目的の明確化:
あなたがその国に訪れる目的を明確にしてください。ビジネス、トランジットなど、訪問の目的に応じて簡潔に説明できるようにしましょう。
滞在先の情報:
滞在するホテルや訪問する会社の名前、住所、電話番号などの情報を控えておき、すぐに示せるようにしましょう。これはあなたが計画的に行動していることを示すために重要です。
出国の予定:
帰国のフライト情報やチケットを用意しておくと、審査官に滞在期間中に国を出国する意図があることを示すことができます。
必要書類の準備:
必要なビザや許可書、その他の書類を必ず持参し、すぐに提出できる状態にしておきましょう。
落ち着いてコミュニケーション:
緊張せず、落ち着いて審査官とコミュニケーションをとることが大切です。わからないことがあれば、再度質問をしてもらうか、繰り返して答えることをためらわないようにしましょう。
規則と法律の遵守:
持ち込む物品に関する規則や法律を事前に確認し、禁止されている物を持ち込まないように注意しましょう。特に、食品などには注意が必要です。
入国審査は多少の変動があるかもしれませんが、上記の基本的なポイントを押さえておけば、大抵の国でスムーズに手続きを進めることができます。
4.英語が分からなくても、ジェスチャーでも伝わります。
英語が得意でない方でも、堂々と振る舞うことで、自信を持ってビジネスを進めることができます。英語はコミュニケーションの一つの手段であり、それだけが全てではありません。言葉に自信がない場合でも、ジェスチャーや表情、姿勢などで意思を伝えることができます。
英語はただのコミュニケーション手段
英語が完璧でなくても、海外でのビジネスは十分に進めることができます。実は、多くの場面で中学レベルの基本的な英語さえあれば、コミュニケーションは可能です。重要なのは、言葉そのものよりも「伝える」という気持ちや、相手との信頼関係を築くことです。
実際に、日常的なビジネスシーンで必要とされる英語の表現は、中学校で習う基本的なフレーズでカバーできることが多いです。”Thank you”, “Sorry”, “Please”, “Yes”, “No” などの簡単な言葉で、日常のコミュニケーションは十分に成立します。
英語は確かに国際的なコミュニケーションのツールですが、それだけが全てではありません。大切なのは、相手に対する敬意や「伝えたい」という気持ちです。堂々とした態度を持ち、ジェスチャーやボディランゲージをうまく活用すれば、言葉の壁を乗り越えて、成功への一歩を踏み出すことができるでしょう。
5.観光地での詐欺にひっかからないように!
海外出張の合間に現地の観光地を訪れることもあると思います。仕事とは違い気も緩みやすい観光地。海外の観光地では、観光客を狙った詐欺があることがあります。怪しいと感じたら、その場を離れるなど、自己防衛に努めましょう。
ニューヨーク・タイムズスクエアの例
ニューヨークのタイムズスクエアでは、人気のキャラクターに扮した人々が観光客と一緒に写真を撮るサービスを提供しています。しかし、写真を撮った後で高額な料金を請求することが少なくありません。事前の金額確認をしていない場合、数十ドル以上の料金を要求されることも。このように、初めは無料や安価に思えるサービスも、後で思わぬ出費を強いられることがあります。
こちらの動画ではアメリカの観光地である詐欺の手口をわかりやすく、楽しく紹介してくれています。出張前に、ぜひ一度ご覧になってください。
6.その他
海外での体調管理も出張中の大切なポイントです。適度な休息と、適切な飲食を心掛けましょう。海外出張は異なる環境や生活リズム、食事などが原因で体調を崩すことがしばしば。体調管理を怠ると、ビジネスの成果が出ないことにもつながるので十分に注意しましょう。
海外出張前、出張中の注意ポイントを紹介します。
時差ボケ対策:
出張先の時間帯に合わせて、出発前から生活リズムを少しずつ調整。飛行機内では、アルコールやカフェインの取りすぎを避け、水分を多めに取ることで、体調を整えましょう。
食事管理:
現地の食材や料理に慣れないこともあるため、あまり冒険は避けましょう。生牡蠣などは要注意。
十分な休息:
特に出発直後は、十分な睡眠を取ることが大切。夜更かしや飲み会が続いても、適度に休息を取る時間を作りましょう。
持ち物の工夫:
便秘薬や胃腸薬、頭痛薬など、基本的な薬を持参。また、ビタミン剤やプロテインバーなど、疲労回復や栄養補給に役立つアイテムも携帯すると良いでしょう。
健康管理は、海外出張は業務の成功に結びつく重要な任務です。少しの工夫と予防策で自身の体調も保ちましょう。出張の成功のために、しっかりとした体調管理を心掛けましょう。
まとめ 事前準備が成功のカギ
初めての海外出張は特に不安が多く、どのような準備や心構えをすればよいのか迷うこともあるでしょう。ただ知っていれば十分対応、対策可能です。出張前には下記のポイントを抑えてきちんと準備しましょう。何事も成功のためには準備が欠かせません。
心配事:
英語のコミュニケーション、現地の文化や習慣、移動手段、治安等が主な心配事項となる。
パスポートの管理:
過度に特別扱いすることなく、必要なときに取り出せる状態で安全に持っておく。
飛行機の移動:
飛行機移動は電車と同じく、空港の指示を見ながら進めば大丈夫。明瞭な案内表示があるので迷わないように設計されている。
英語のコミュニケーション:
英語が得意でなくても堂々とした振る舞いでコミュニケーションを取ることが重要。基本的なフレーズやジェスチャーでのコミュニケーションも有効。
観光地の詐欺注意:
観光地では詐欺に遭うリスクがあるので、怪しいと感じた場合はその場をすぐに離れる。
健康管理の重要性:
体調を崩すリスクがあるので、時差ボケ対策、食事管理、十分な休息、必要な薬の持参などが重要。健康管理は業務の成功に直結することを肝に命じておきましょう。
最後に、海外出張は業務の一環でありながらも、その過程で得られる経験や知識は自身の成長にも寄与します。しっかりとした体調管理と準備をして、業務の成功に繋げましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。