業務で英語を使用している方でも、意外と知らない英熟語が多く存在します。ネイティブスピーカーも間違いに気づきつつも、意味が通じればわざわざ訂正してくれないため、何年も誤ったまま使い続けるケースが少なくありません。
この記事では、私の経験をもとに、違いを知らずに使っていた英語の熟語を厳選して10個紹介します。何か違いがあったかもしれないと感じた際に、この記事を思い出し、使用する前に再度確認していただけると幸いです。
【一般編】意外と違いを知らない英熟語8選
それでは早速8つ紹介していきます。
1. a と the
基本的なとこですが、意外と迷うところでもあります。復習もかねてご覧ください。
“a” は不定冠詞です。これは、特定されていない、あるいは任意のものを指します。この文章では、犬の特定はされていません。どんな犬でも良いというニュアンスです。
“I saw a dog in the park.”
(公園で犬を見た)
“the” は定冠詞です。これは、特定された、あるいは既知のものを指します。この文章では、犬が特定されており、話している人たちにはその犬がどれであるか分かる状況です。
“I saw the dog in the park.”
(公園でその犬を見た)
要するに、“a” は一般的なものや初めて言及されるものに使い、”the” は特定のものや既に言及されたものに使います。
質問
じゃあ、なぜstationにはtheがつくの?いつもtheをつけるよね?
回答
英語では、一部の場所や施設に “the”(定冠詞)がつくことが一般的です。特に、その場所や施設が一種類しかないか、その地域で唯一のものである場合によく使われます。そのような場所や施設は、特定されたものとみなされるため、”the” が使われます。
“station” の場合も、特定の駅を指していることが多いため、 “the” がつくことがよくあります。
例えば、「駅に行く」を英語で表現する場合、「Go to the station」と言います。この場合、”the” がついていることで、「特定の駅」に行くという意味になります。
ただし、すべての場合で “the” が必ずつくわけではありません。例えば、「ある駅で電車を待っていた」という場合、「I was waiting for a train at a station」と言います。この場合、特定の駅ではなく、どんな駅でもよいという意味になるため、”a” を使っています。
2. in the case of と in case of
“in the case of” は、「~の場合には」という意味で、特定の状況や事例について言及する際に使用します。この例では、特定の実験条件に焦点を当てています。
In the case of this experiment, we should follow the specific protocol.
(この実験条件の場合には、特定のプロトコルに従うべきです。)
“in case of” は、「~が起こる場合に備えて」という意味で、何らかの事態が起こることを想定して行動する際に使用します。この例では、火災が起こる可能性がある場合に備えた行動を示しています。
In case of fire, use the emergency exit.
(火災の場合、非常口を使用してください。)
要するに、”in the case of” は特定の状況や事例を指し、”in case of” は予期される事態に対処するための指示や準備を示しています。
この表現は私もしばらく間違って使っていました。「In case of ~」 を使ってしまいがちですが、特定の状況や事例を刺す場合には、「In the case of ~」を使うように注意しましょう。
3. As far as と As long as
これも非常によく使う表現です。”as far as” は、「~する限り」という意味で、ある範囲や程度までを表す際に使用します。この例では、「私の知っている範囲で」という程度を示しています。
As far as I know, the test is scheduled for next week.
(私の知る限り、テストは来週予定されています。)
“as long as” は、「~である限り」「~する限り」という意味で、ある条件が満たされる限り、何かが可能であることを示す際に使用します。
この例では、明日晴れるという条件が満たされる限り、ピクニックに行くことができることを示しています。
As long as it’s sunny tomorrow, we can go on the picnic.
(明日晴れであれば、ピクニックに行けます。)
要するに、“as far as” はある範囲や程度を表し、”as long as” はある条件が満たされる限り何かが可能であることを示しています。
学生時代はこれらの2つは同じだと記憶していました。個人的には、As far as I remember, (私が記憶の限りでは)という使い方が多いです。
4. a number of と the number of
“a number of” は、「いくつかの」「多数の」という意味で、特定の数を指定せず、複数のものが存在することを示す際に使用します。
この例では、コンサートに出席した人々の具体的な数はわかりませんが、複数の人々が出席したことが分かります。
A number of people attended the concert last night.
(昨夜、多数の人々がコンサートに出席しました。)
“the number of” は、「~の数」という意味で、特定のものの数や数量を示す際に使用します。この例では、教室の生徒数が具体的に30人であることが分かります。
The number of students in the classroom is 30.
(教室の生徒数は30人です。)
要するに、”a number of” は特定の数を示さず、複数のものが存在することを示し、”the number of” は具体的な数や数量を示しています。
5. in detail と detailed
“in detail” は、詳細について説明する方法や程度を指す副詞句です。これは、情報を十分に説明するために詳細に触れることを示します。
The engineer explained the project plan in detail, so everyone understood their responsibilities.
(エンジニアはプロジェクト計画を詳細に説明したので、みんなが自分の責任を理解できました。)
“detailed” は、多くの細かい情報や要素が含まれていることを表す形容詞です。これは、対象が徹底的に調査され、正確で包括的であることを示します。
The team received a detailed report on the software’s performance, which helped them identify areas for improvement.
(チームはソフトウェアのパフォーマンスに関する詳細なレポートを受け取り、改善すべき箇所を特定できました。)
要するに、”in detail” は情報が詳細に説明される方法や程度を指し、”detailed” は対象が多くの細かい情報や要素を含んでいることを示しています。
in detail は詳細に説明する人がその事柄について良く知っていることを暗示していますね。
6. At the beginning of と in the beginning of
“at the beginning of” は、特定の期間やイベントの開始時を指す際に使用されます。この表現は、その期間やイベントの最初の瞬間を強調します。
At the beginning of the project, the engineers discussed the requirements and set goals.
(プロジェクトの始めに、エンジニアたちは要件を話し合い、目標を設定した。)
“in the beginning of” は、期間やイベントの初めのうちに何かが起こることを示す際に使用されます。この表現は、期間やイベントの初期の段階全体を指します。
In the beginning of the software development process, the engineers focused on designing the architecture.
(ソフトウェア開発プロセスの初めに、エンジニアたちはアーキテクチャの設計に注力した。)
“at the beginning of” は開始時の特定の瞬間に焦点を当て、”in the beginning of” は期間やイベントの初期の段階全体を指します。
質問
at と in には異なるイメージがあるってこと?
回答
はい、”at” と “in” は、それぞれ異なるイメージを反映しています。
“at” は、より具体的なポイントや瞬間に焦点を当てています。”at the beginning of” の場合、期間やイベントの開始時の特定の瞬間を強調しています。
一方、”in” は、ある程度の範囲や期間を示します。”in the beginning of” の場合、期間やイベントの初期の段階全体を指し、その期間内での出来事に焦点を当てています。
この違いにより、”at the beginning of” と “in the beginning of” のニュアンスが異なります。ただし、実際の使用においては、文脈によってはこれらの表現が互換性があることもあります。
7. 関係代名詞 which と that
まず、「which」は、非制限的な節を導入し、追加の情報を提供します。この情報は文の意味に重要ではなく、省略しても文の主要な意味は変わりません。
一方、「that」は、制限的な節を導入し、先行詞を特定するための重要な情報を提供します。この情報は文の意味にとって重要であり、省略すると文の意味が変わってしまいます。
エンジニアに関係する例文を使って説明しましょう。
Which: 追加情報
The robot we designed, which can teach English to children, has been well received by the users.
(私たちが設計したロボット、これは子供たちに英語を教えることができます。)
That: 重要情報
The app he developed that helps engineers work more efficiently has become very popular.
(彼が開発したアプリは、エンジニアが効率的に仕事を進めるのに役立つものです。)
「which」は非制限的な節で、追加情報を提供します。省略しても文の主要な意味は変わりません。
「that」は制限的な節で、先行詞を特定する重要な情報を提供します。省略すると文の意味が変わってしまいます。
質問
例えば下記の例文の場合、thatのあとの情報が重要ってどうやって判断できるの?
The app he developed that helps engineers work more efficiently has become very popular.
回答
この例文で、「that」の後に続く情報が重要である理由は、先行詞である「彼が開発したアプリ」について、その特定の機能や目的を明確になるためです。
つまり、その情報がなければ、どのアプリが話題になっているのか分かりにくくなり、文の意味が曖昧になってしまいます。
この文では、「that」の後に続く「エンジニアが効率的に仕事を進めるのに役立つ」という情報が、そのアプリがどのようなものであるかを特定するために重要です。
その情報が省略されると、読者はどのアプリが話題になっているのか、またそのアプリが何をするためのものなのかを正確に理解できなくなります。
8. Table of contents と Index
これはそれぞれの日本語訳を覚えてしまえば簡単な表現です。
「Table of contents」と「Index」は、本やドキュメントの構成や情報を参照するために使用されるものですが、それぞれ異なる目的と機能があります。
「Table of contents(目次)」
「Table of contents(目次)」は、本やドキュメントの章や節、そしてそれらのページ番号を一覧にしたものです。目次は通常、本の前部に位置し、読者が全体の構成を把握しやすくするために役立ちます。
「Index(索引)」
一方、「Index(索引)」は、本やドキュメント内の特定の単語やフレーズ、概念をアルファベット順にリストし、それらが言及されているページ番号を示すものです。索引は通常、本の後部に位置し、読者が特定の情報を素早く見つけるのに役立ちます。
「Table of contents」は、章や節の構成とページ番号を一覧にしたもので、「Index」は、単語やフレーズ、概念をアルファベット順にリストし、それらが言及されているページ番号を示すものです。
【技術用語編】意外と違いを知らない英熟語2選
9. PCB と PCBA
「PCB」と「PCBA」は、電子業界でよく使用される略語で、それぞれ異なる意味を持ちます。
プリント基板とも呼ばれ、電子部品が配置される基板のことです。
通常、銅箔を貼り付けた絶縁材料で作られ、回路パターンがエッチングされています。これにより、電子部品が正しい位置に配置され、適切な電気的接続が確保されます。
プリント基板上に電子部品が実装された状態のものを指します。
つまり、PCBAは電子部品がはんだ付けされ、基板上の回路パターンに接続された完成品です。
要点:
「PCB」は電子部品が配置される基板で、回路パターンがエッチングされています。
「PCBA」は、PCBに電子部品が実装され、はんだ付けされた完成品です。
10. Silicon(シリコン) と Silicone(シリコーン)
「Silicon」と「Silicone」は、音が似ているため混同されがちですが、それぞれ異なる物質です。
周期表において原子番号14の元素で、地殻中に広く存在する半金属です。
半導体産業では、純度の高いシリコンウェーハが製品の基盤となります。シリコンウェーハは、コンピュータチップやトランジスタなどの電子部品に使用される半導体素材です。
ケイ素と酸素を含む合成ポリマーです。
シリコーンは耐熱性や耐候性に優れており、さまざまな製品に使用されます。例えば、キッチン用品、建築材料、医療用品、電子機器の絶縁材などです。
例えば、下図のようなコーキングガンでガラス・サッシまわりなどに塗布している姿を見かけることがあると思います。それもシリコーン系の樹脂ですね。
要点:
「Silicon」は元素であり、半導体産業の基盤となるシリコンウェーハに使用されます。
一方、「Silicone」は合成ポリマーで、耐熱性や耐候性があり、多くの製品に応用されます。
正確にはシリコーン接着剤です。シリコン接着剤ではありません!
実用的な英熟語を学ぶためにおすすめの学習方法
それでは実用的な英熟語の学習教材を紹介します。ここでは忙しい皆さんのために、おすすめの教材を厳選しました。
オンライン英会話の活用
おすすめの一番はオンライン英会話です。理由は大きく3つあります。
オンライン英会話をおすすめする理由
1.実践的な学習環境:
まずは英語を話す機会を作ることが重要です。オンライン英会話では、実際にネイティブスピーカーと話すことができるため、リアルタイムで英語のコミュニケーションを学ぶことができます。
2.フィードバックの受け取り:
オンライン英会話の先生は、生徒の発音や文法、表現の使い方に対して適切なフィードバックを提供してくれます。これにより、エンジニアのみなさんは正確な英語表現を身につけることができるでしょう。
3.フレキシブルなスケジュール:
オンライン英会話は、自宅や職場からアクセスできるため、学習者が忙しい日程に合わせてレッスンを予約できます。これにより、継続的に英語学習に取り組むことが可能です。
初心者におすすめのオンライン英会話スクールはDMM英会話
DMM英会話は、毎日レッスンを受けても月額6,980円(2024年9月現在)とコストパフォーマンスが高く、多様なネイティブ講師が在籍しています。さらに、24時間いつでもレッスンが受けられる点が魅力です。
また、初心者から上級者まで対応したレベル別の教材が豊富に用意されているため、自分に合った学習ができます。
英語学習は継続することが何よりも重要です。その視点でも私が約2年継続して受講できているDMM英会話でまず初めてみることをお勧めします。
すきま時間を使ってYouTubeで学習
英語学習者向けの幅広い教材が無料で提供されているYouTubeもおすすめの学習方法です。
例えば、熟語やフレーズを学ぶための専門チャンネルがあり、as far as と as long as などの表現の違いについても詳しく説明しています。
as long as と as far as の違い
また、YouTubeの動画では、音声だけでなく映像も提供されるため、視覚的にも学習が可能です。これにより、英語表現のニュアンスや使い方を理解しやすくなります。
That vs Which 超簡単な使い分け方
YouTubeでの学習は、自分のペースで進めることができます。動画を繰り返し視聴したり、一時停止して理解を深めたりすることができるため、熟語やフレーズの使い方をしっかりと身につけることが可能です。
YouTubeでは、専門的な教材を無料で利用でき、視覚的な学習が可能です。また、自分のペースで動画を繰り返し視聴し、熟語やフレーズの使い方を練習できます。
最後に 間違っていても大丈夫!どんどん指摘してもらう
この記事では、意外と違いを知らずに使っている英語の熟語を10個紹介しました。
私自身これらのほとんどは現場やオンライン英会話で使って指摘されて気付いたもの、またYouTubeを見て知ったものばかりです。私の周りを見ても、これらの差を知らずに使っている方も多くいます。一歩差をつけるためにもぜひこの機会にこの違いを理解しておきましょう。
ただ、間違って使うことを恐れる必要は全くありません。逆に積極的に使って間違いを指摘してもらいましょう。私たちはネイティブではありませんので、全ての違いについて理解はできません。
最後までご覧いただきありがとうございました。
自分たちがよく使うフレーズについて、間違いがあれば指摘してもらい直す、それが効率の良い学習方法です。そのためにも、実践やオンライン英会話で英語を話す機会を作っていきましょう。