エンジニアの皆さんは、日々の業務を通じて技術を向上させるために尽力していると思います。お客様や上司、チームからの日々の要望に応えるため、常に努力していることでしょう。製品開発や技術開発では、目標となる要求仕様が明確に定められています。そのため、それに対応するための技術や検討を日々行っていることでしょう。
では、英会話力についてはどうでしょうか?流暢に英語を話す先輩や上司を見て、「いつか自分もあんな風になりたい」と思う方も多いでしょう。しかし、英会話力の目標設定はそう簡単ではありません。明確なゴールがないため、正しい学習プロセスもわかりにくく、結果として継続が難しくなります。この記事では、そうした方々に向けて、エンジニアに適したTOEICや英検の目標スコアを設定しましょう!
結論から言うと、私達エンジニアが目指す最初のゴールは TOEIC 600点 or 英検2級 です。それはなぜでしょうか?その理由とその後に目指すゴールについて1つずつ紹介していきます。
目次
エンジニアにとって英語力は必要なのでしょうか?
まず、エンジニアがなぜ英語力を必要とするのか考えてみましょう。確かに、海外担当のセールスエンジニアでなければ、日々の業務で英語を頻繁に使うことは少ないかもしれません。しかし、どのエンジニアにとっても、英語力を持つことには多くのメリットがあります。ここでは、特に重要な理由を4つ挙げてみましょう。
海外出張・海外出向のチャンスがある
海外出張や海外赴任のチャンスは、英語を使って自信を持って海外の取引先と議論できるエンジニアには常にあります。しかし、最低限の英語力がなければ、その初めての海外出張の機会さえ逃すかもしれません。日常では英語をあまり使わないエンジニアにとっても、チャンスは予期せず訪れることがあります。
「来週、海外のお客様が訪れるので、部署紹介をお願いしたい」このような上司からの依頼にも「喜んで対応します!」と応えられるよう、事前に準備をしておくことが大切です。
私の場合も、最初の英語プレゼンテーションは、課長からの急な依頼がきっかけでした。
「2週間後に現地法人の担当者が来日するので、その際に部署の紹介を英語でお願いします」
予期せぬ依頼でしたが、英語でのプレゼンテーションを無事にこなし、「ねざーくん、英語ができるんだね」と役員に評価される結果となりました。この経験から、準備の重要性を深く理解しました。もし英語ができなければ、私の評価は大きく落ち込んでいたでしょう。
さて、一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会が2019年に行った英語活用に関する実態調査によると、海外赴任者や海外出張者に対して、約6割、5割の企業がTOEICスコアを参考にしていることが明らかになっています。数字で示されると、よりモチベーションが高まりますね。
英語の文献が読めるようになる
英語の文献が読めるようになることは大きなアドバンテージです。確かに、最近では「Google翻訳」や「DeepL翻訳」といった優秀な翻訳ツールが多く存在し、非常に便利な時代になりました。しかし、技術資料や特許文書など、技術用語が含まれる場合、これらの翻訳ツールでは正確に訳すことが難しいことがよくあります。そのような時、原文を直接読む方が理解は格段に早くなります。特に、英語で書かれた文献を読む能力は、技術分野において非常に大きなメリットをもたらします。
また、学会や展示会などでは、英語で書かれた資料や英語での発表が一般的です。英語の基礎がないと、これらのイベントへの参加意義は大幅に減少してしまいます。
実際、英語の基本的なスキルがなければ、国際的な学会への参加も難しいでしょう。
昇進の可能性も
最先端の技術を追求するエンジニアにとって、海外技術の調査やお客様とのコミュニケーションは、もはや必須のスキルと言えます。特に人口が減少する日本を考慮すると、アメリカなどの国々が持つ最先端技術を取り入れるためには、技術的なディスカッションがますます重要になっています。
このような背景から、業務上の成果を出すためにも、国際的なチームを率いる上でも、英語力は必要不可欠なスキルとなっています。既にいくつかの企業では、昇進と英語力をセットで求める傾向が見られます。
2019年に実施された英語活用に関する実態調査では、昇進時にTOEICスコアを参考にしている企業が多いことが示されています。特に課長職の昇進では、43.7%の企業がTOEICスコアを考慮しています。2023年現在では、この比率はさらに高くなっていると推測されます。
私の勤める会社でも、昇進条件の一環としてTOEICスコアが考慮される部署があります。TOEICスコアが低い場合、昇進させるには上司がその理由を記載する必要があります。英語力がないために昇進のチャンスを逃すことがあるのは残念な事実です。
転職時にも有利。ただしその場合はスコアではなく英語での実績を。
転職市場においても、英語力は大きなアドバンテージとなります。ただし、特に中堅以上の転職では、単なるスコアよりも、実際に英語を使った業務での実績が重視される傾向にあります。
日本の職場環境は、徐々に欧米のようなスタイルに近づきつつあり、転職がより一般的になってきています。この動向に伴い、転職時には英語力が重要なスキルの一つとして評価されます。若手の場合はTOEICや英検のスコアで英語力を評価されることが多いですが、中堅以上では「海外のお客様とプロジェクトを成功させた」「英語での論文や特許を読み解き、開発に活かした」といった具体的な実績が求められます。
実際に、私が転職エージェント「JACリクルートメント」に登録した際も、英語を使用した業務での実績を尋ねられました。40歳を超えると、TOEICのスコアは参考程度に留まり、転職における採用判断には英語を使用した業務の実績がより大きな影響を与えることを、はっきりと伝えられました。
TOEIC600点と英検2級の実力は?
TOEICと英検は、それぞれのスコアや級によって、どのレベルの英語能力を有しているかを示しています。これらのテストは、受験者の英語力を客観的に評価するための基準を提供しています。では、TOEICと英検の各スコアや級が具体的にどのような英語能力を示しているのか、詳しく見ていきましょう。
TOEIC L&Rのスコアと能力レベル
TOEIC L&Rのスコアに関して、国際ビジネスコミュニケーション協会から公開されているコミュニケーション能力レベルとの相関を見てみましょう。この中で、「レベルC」と定義されているスコア範囲は470~729点です。このスコアを持つ人は、「日常生活のニーズを満たし、限定的な範囲での業務上のコミュニケーションが可能」とされています。このスコア範囲は幅広いですが、エンジニアが最初のステップとして目指すべきスコアは、このレベルCの範囲内に位置します。
このレベルでは、基本的な日常英語と、簡単なビジネス英語のコミュニケーションが可能であると言えます。エンジニアが国際的な環境で活躍するための第一歩として、このレベルCを目標にすることは理にかなっています。
英検の級と能力との相関
日本英語検定協会によって公開されている情報によると、各級には独自の習得目標や出題範囲が設定されています。中でも、ビジネスシーンや海外留学に対応できる能力が求められる「英検2級」は、エンジニアにとって最初に目指すべきステップとされています。このレベルでは、日常的な英語コミュニケーションはもちろん、専門的な内容に関する基本的な理解と表現が可能とされています。
エンジニアが国際的なキャリアを考える場合、英検2級はその第一歩として適切な目標です。このレベルをクリアすることで、海外のクライアントや同僚とのコミュニケーション、専門的な英語資料の理解など、ビジネスシーンでの英語使用に必要な基礎能力を身につけることができます。
習得目標 | 級 | 推奨目安 | 出題目安 |
リーダー(品格)の英語 ライティング、スピーキングを含む4技能の総合力を測定 | 1級 | 大学上級程度 | 二次試験では2分間のスピーチと、その内容への質問がなされます。 カギは英語の知識のみでなく、相手に伝える発信力と対応力。 世界で活躍できる人材の英語力を証明します。 |
同上 | 準1級 | 大学中級程度 | エッセイ形式の実践的な英作文の問題が出題されます。 「実際に使える英語力」の証明として高く評価されています。 |
使える英語で世界へ 大学入試レベル 2級から海外留学 履歴書で評価される | 2級 | 高校卒業程度 | 医療やテクノロジーなど社会性のある英文読解も出題されます。 海外留学、国内での入試優遇・単位認定など、コミュニケーション力が高く評価されます。 ビジネスシーンでも採用試験の履歴書などで英語力をアピールできます。 ライティングが加わります。 |
同上 | 準2級 | 高校中級程度 | 教育や科学などを題材とした、長文の穴埋め問題が加わります。 センター試験の問題形式と共通点が多く、入試対策にも最適。 高校卒業段階の英語力の達成目標:準2級~2級(文部科学省) |
使える英語の登竜門 基礎力定着 高校入試レベル | 3級 | 中学卒業程度 | 二次試験でスピーキングテスト。英語で考えを伝えましょう。 筆記試験の題材は、海外の文化など少し視野が広がります。 中学卒業段階の英語力の達成目標:3級(文部科学省) |
TOEIC L&Rと英検の比較
TOEIC L&Rと英検のスコアを比較することで、これまで述べたTOEIC 600点と英検2級が似た英語能力を示していることが理解できます。ここで、さらに具体的なデータを紹介しましょう。
少し古いデータですが、2016年に文部科学省が公開した対照表によると、TOEIC L&Rのスコア550~784点が英検2級に相当するとされています。この対照表は、両試験のスコア間での英語能力の相関を示しており、特に英検2級を目指すエンジニアにとって、TOEICスコアでの目標設定の参考になります。
この情報は、TOEICと英検のどちらの試験を受けるかを検討しているエンジニアにとって、英語学習の目標設定や自己評価の基準を理解する上で役立ちます。また、両試験のスコアを理解することで、自分の英語能力をより具体的に把握し、効果的な学習計画を立てることができます。
私の職場でのTOEICスコアと英語レベルの比較
これまでの説明を踏まえ、TOEIC 600点と英検2級を保有している人の英会話力についての理解が深まりました。さらに、実際の英語力とTOEICスコアの相関を探るため、私が勤める国際的な会社での同僚へのヒアリング結果を紹介します。この会社では、海外出張や出向の機会が多く、毎日英語を使用するエンジニアもいます。
具体的には、海外のお客様と会話経験がある、または日常的に英語でコミュニケーションを取るエンジニアにTOEIC L&Rのスコアを尋ねました。これは、私が自身で参加した英語の会議や出張での経験に基づいたものです。その結果をまとめた表は以下の通りです。
TOEIC L&R スコア | エンジニアの英会話スキル |
800 – | ネイティブ並みのスピードで会話が可能。豊富なボキャブラリーを用いて意思をスムーズに伝える。 |
700 – 800 | 明瞭に話されればほとんどの話題を理解。限られたボキャブラリーでも意見を伝えることが可能。 |
600 – 700 | 専門分野では明瞭に話されれば大体の意味を理解。簡単な英文でのコミュニケーションが可能。 |
500 – 600 | 専門分野において半分程度理解可能。簡単な単語を使った意思表示が可能。 |
350 – 400 | ゆっくり明瞭に話されれば、文章内のいくつかの単語を聞き取れるが、全体の意味を理解するのは困難。 |
この調査からも、TOEIC 600 – 700点の範囲になると、専門分野に関するコミュニケーションが可能なレベルであることがわかります。私たちエンジニアが最初に目指すべきは、このレベルです。
私自身の経験では、職場で流暢に英語コミュニケーションを行っている人々は、大抵TOEIC 800点以上のスコアを持っています。しかし、このギャップによって学習を始めるのを躊躇する人もいます。焦る必要はありません。まずはTOEIC 600点を目標にしてスタートすることが大切です。
TOEIC600点、英検2級を取得するための勉強法
TOEIC600点や英検2級を目指すエンジニアの皆さんには、主に2つの勉強方法があります。
1.業務で英語を積極的に使用する
2.自分で英語学習を行う
海外の方とのコミュニケーションや英語での資料作成など、日常業務で英語を頻繁に使う機会があれば、半年程度で英語力が向上し、TOEICスコアにも反映されるでしょう。しかし、多くの方にとっては、そのような環境にいないのが実情です。
そのため、自分で学習するしかない方には、「オンライン英会話」と「英語学習アプリ」の活用がおすすめです。
オンライン英会話 Bizmates
TOEICではビジネス関連の問題、例えばメールのやり取りや会議の様子などが出題されます。ビジネスシーンでの英語経験がある方は、このような問題に強いです。そのため、業務上の英語経験がない方やさらにスキルアップを目指す方には、オンライン英会話を通じてビジネス英会話を学ぶことをお勧めします。Bizmatesは、1,500人以上の講師が在籍し、全員がビジネス経験者です。ビジネスに特化した英語学習が可能で、毎月4回のコンサルティングが受けられるなど、継続するためのサポートも充実しています。
私はこの継続するための仕組みが英語学習には非常に大事だと思います。継続できれば英語は言葉なので必ず伸びます。
毎日25分プラン(スタンダードプラン)
毎日25分×1レッスン 13,200 円/月
毎日25分×1レッスン +Video Lesson 14,190 円/月
毎日50分プラン
毎日25分×2レッスン 19,800 円/月
毎日25分×2レッスン +Video Lesson 20,790 円/月
英語学習アプリ
オンライン英会話でリスニング力や英文作成の練習をしながら、スタディサプリENGLISHアプリでスキマ時間を活用して語彙力や実用的なフレーズを学び直しましょう。特にTOEIC対策版は、試験に特化した学習が可能です。
スタディサプリENGLISH TOEICテスト対策次のステップはTOEIC 750点
TOEIC 600点や英検2級を既にクリアしている方、またはこれからクリアすることを目指す方には、次のステップとしてTOEIC 750点を目標にすることをお勧めします。
TOEICのスコア相関表によると、730点以上は「どんな状況でも適切なコミュニケーションが取れる基盤がある」とされています。このレベルに到達すると、英語でのコミュニケーションスキルが高いと認識され、自信を持って海外の方々とのやり取りが可能になります。
私が勤める会社では、TOEIC 730点以上を持っている人は「英語に自信がある」と社内で認識されています。このスコアを取得することで、英語に関する自信が高まり、海外の方とのコミュニケーションも堂々と行えるようになります。
最後に:英語学習は継続が鍵です。目標を信じ、コツコツと努力を続けましょう!
この記事では、エンジニアの皆さんが目指すべき最初のステップとその理由をお話ししました。海外のお客様や取引先と堂々とコミュニケーションを取るために、まずはTOEIC 600点または英検2級の取得を目指すことが大切です。このレベルの英語力があれば、少なくとも専門分野においてはコミュニケーションが可能になります。
エンジニアの皆さんにとって、技術力は最大の強みです。その技術力に英語力が加われば、皆さんの評価は飛躍的に向上します。技術力と英語力を兼ね備えた人材は非常に貴重です。私たちもそのステップに到達できるよう、一緒に頑張りましょう!
ご存知の通り、英語学習は継続が難しく、挫折することもあります。重要なのは、まずは習慣化することです。継続しやすくするためには、以下のような方法を試してみてください。
1.オンライン英会話でお気に入りの講師を見つける
2.学習を共に進める仲間を見つける
3.自分自身にご褒美を設定する
皆さんがいつか海外で堂々とディスカッションやプレゼンテーションができる日を楽しみにしています。最後までお読みいただき、ありがとうございました。